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介護のUターン情報局

増加している「介護Uターン」

Uターンする人が増加中


介護Uターンとは

就職などの都合で出身地を離れて都市圏で生活をした後に、自身や配偶者の出身地またはその周辺で暮らすことを「Uターン」と言います。
Uターンを経験した男女1714人を対象として行われた実態調査では、都市圏での生活に疲れたことを理由として挙げている人が一番多いことがわかりましたが、次に多かったのは「親のことを考えた」というものでした。世代別に見ると、若年層ではストレスがきっかけになっている場合が多く、ベテラン層では両親の介護など家族の事情を理由に挙げるケースが多く見られます。
またUターンを経験した人のうち約半数は、実は元々出身地へいつか戻ることを想定していたようです。そして、約6割の人が思い立って半年以内に行動していることから、その背景がひっ迫した状況であったことがわかります。

介護離職という問題

上記のように思い立ってからあまり時間をかけずに出身地に戻るということは、同じ職場の人々にも影響を及ぼします。40~50代のベテラン層が突然退職してしまうとなれば、かなりの混乱が予想されます。子育てとは違い、介護は職場に知られたくないために隠してしまうことが多いようで、転勤や異動などのきっかけで現状を維持できなくなった時に、明らかにすると同時に退職してしまうのです。
高齢化社会に伴い、介護を理由に離職せざるを得ない、いわゆる「介護離職」をする人が年々増えています。その内訳は8割が女性、2割が男性ということですが、今後も「家族の介護をする人が自分しかいない」という状況は進んでいくことが予想されるので、女性に任せておけばいいというわけにはいかなくなってきます。また、以前と比べ兄弟が少なかったり、未婚化・非婚化や離婚率の増加という世代的な特徴も相まって、この状況はさらに加速していくと考えておいたほうが良いでしょう。
このように、本人にとっても周囲の人にとっても大変な介護離職ですが、離職せずに介護と仕事を両立していくための対策が「育児介護休業法」で進められています。しかし仕事と子育てや介護を両立するということは、想像以上に心身への負担が大きいものです。本当に求められているのは、離職しないシステムではなく、離職してもその後スムーズに復職できるシステムなのかもしれません。

暮らしを守るために

介護Uターンの際に心配になるのは、「仕事はあるのだろうか?」ということです。仕事をしないまま介護だけを行っていれば、親の年金に頼る生活となり経済的に立ち行かなくなってしまいます。また、介護以外にすることがないと精神的な負担も増えてしまいます。
30年ほど前から地方では、活性化のために若者の田舎暮らしやIターンを呼び掛けてきましたが、あまり目立った効果は見られませんでした。しかし近年増加している介護Uターンによって、社会人として様々な経験を積んできた中高年が地方に戻ってきているのです。リアリティのない施策をいつまでも続けるより、仕事を欲していて且つ多様なノウハウを持った貴重な人材を大切にする動きが求められます。地元の企業や団体が総がかりで環境づくりを進めれば、介護Uターン層が地域経済を一気に押し上げてくれるという可能性も決して低くありません。働く場所を作るということは、地域にとっても、家族の介護のためにもどってきたベテラン層にとっても、お互いに必要なことなのです。

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